いつかの日記(お年玉)

2024/1/2
お年玉

朝、父が孫(私にとって姪)にお年玉をあげる必要があるとそわそわしていた
千円にするか一万円にするかと悩んでいた
父は言った
「(父の勤めている)職場の人間たちは一万円も3歳の子供には渡さないだろう それにあまりカネがない」
そうして渡すのは千円にする結論に至った
普段はカネがあるだのなんだの見栄を張っているくせになにを言っているのだ
そもそもカネがある人間なら外食の時に割引クーポン券がないくらいでおたついたりはしない
父は江戸っ子である
江戸っ子とは三代 江戸生まれの江戸育ちが続いたら名乗れるらしい
こんなケチ臭い江戸っ子なんているのだろうか
百歩譲ってケチは良いにしても 自分の孫にまでケチなのには呆れた
そこで私は諫めて言った
「一万円にしたほうが良い」
父は言う
「なぜか」
私は答えて言う
「それだけ大切にしているということが孫に伝わり、差額の九千円以上のものを得るでしょう」
それでも父は悩んでいるようであったから私の財布から一万円を出して父が用意したものとしようとした
しかし、財布から出す前に父は一万円をお年玉とする決心がついたようだった
「あとで職場の人間にどれだけお年玉を出したか聞いてみる」と納得いかない様子であった
この後、仮に私が父から「やはり一万円は出しすぎだった 皆そんなに渡していない」という抗議を受けたならば、
私は「それはよかった」というつもりだ
それに対して父はこう言うであろう
「なぜか」
私は答えて言う
「他の人が出さないような額のお年玉を孫に与えたのであるから、それだけ孫を大事にしていることが周りに伝わり、一目置かれ、人から軽んじられることはないでしょう」と